arakabu-kamenoteのブログ

あちこちガタがきだしたオヤジの日々の記録です。

恐怖の酢キャベツ

気持ちの良い日差しがベランダを埋め尽くしている。
台所からはキャベツを切る小気味良いまな板の音が響いている。
包丁でまな板を叩いているのは、我が愛妻孝子である。
まな板の上のキャベツは、細く細く刻まれていく。
私も刻まれない様に注意しないといけない、なんてバカなことを考えながら、その音をカウンター越しに聞いている。

今朝は、孝子が先に起きた。私が起きて部屋から出ると
「おはよう、珍しいね」
と孝子が声をかけた。私も
「おはよう」と声を返し、
「明日から仕事少し忙しいから、今日は休憩」と、珍しく孝子より遅く起きた言い訳を付け加えた。
明日から28日の日曜日まで仕事が詰まっている。
孝子が
「もう仕事辞めたら」と言うのを
「仕事辞めたらボケてしまうよ」と勝手なこと言って仕事を続けているのだから、忙しいと言って寝坊しているのも可笑しいのだが、チョット予定を詰めすぎたかな?と少し反省している。

仕事の予定は自分で勝手に決めて、客先との調整は担当の若いお姉さんがやってくれるのだが、追加の仕事を頼まれると、つい引き受けてしまう。
「急に工事が決まり、都合がつかないので、担当違いですが、工事立会お願いできないでしょうか」
なんて若いお姉さんに優しく言われると
「良いよ」と反射的に返事をしてしまう。
要は女性に弱いのである。
歳はとっても、男は男。
老化防止の秘訣は、コレなのかも知れない。

男は男、女は女、この意識がある限り頑張っていけると思う。
でも、最近は、風呂上がりに自分の部屋まで下着を取りに素っ裸で行っている。
以前は孝子の目があるのでバスタオルぐらいは巻いていた。
何時からこうなったのだろう?
孝子の方も私ほどでは無いが、似たりよったりである。
ま、年寄夫婦に成ったという事かな?

あ、話が横道にそれている。
キャベツの千切りの話に戻そう。
千切りのキャベツはタッパに入れられて冷蔵庫の中に。
私の毎朝お決まりの朝食であるパンに、チーズやトマトと一緒に挟まれて、私の胃の中に落ちていく運命である。

以前はキャベツは大半がそうなる運命であったが、最近は孝子の胃にも一部が入って行く。
孝子のダイエットの為だと思うが、キャベツを酢和えして、食べているのだ。
ただの酢和え程度であれば良いのだが、酢に浸けているような感じで、食べている孝子自身、酢に咽て咳き込んだりしている。
全く良くやるよ、である。

食事中咳き込んで
「コロナかな?」なんて言うから
「酢が効きすぎよ」とからかうと、
「健康に良いのよ、アンタも食べる?」
「断る!」
「アンタみたいに持病持ちは特に良いよ」
とくる。

私の食卓に何時この酢キャベツが乗るか、私は恐怖を感じずにはいられない。
酢キャベツなんて人間の食い物では無い。

孝子自身も基本的には野菜嫌いで、昔はキャベツであれ白菜であれ、葉野菜は全て『草』と言っていた。
「こんな鳥の餌食べるか」と豪語していたものである。
あの頃の孝子はどこへ行ったのだろう?