手作り化粧品
孝子は、私より少しだけ年上妻である。
孝子の運転免許の更新が12月にあるのだが、今回から高齢者講習が必要とのことで、昨日は近くの自動車学校に講習に行っていた。
私が仕事から帰宅し、干しっぱなしだった洗濯物を取り込んでいると、孝子が講習から帰ってきた。
「早かったね、もう帰ってた?」
「今帰ったばかり、講習どうだった」
「ビデオ見て、ちょっと講習があって、警察の免許更新の時と同じ」
「運転は?」
「少ししたけど、たいした事ないよ、免許更新用の講習修了書をもらいに行ったようなもの」
「ふうん」
「年寄りから金取るような事ばかりする。免許の更新を自動車学校が代行して、6千円以上も払って、自動車学校を儲けさせているだけよ」
「そうなのか警察の更新講習とは少しは違うのかと思ってた」
そんな夫婦の会話が昨日あった。
孝子はちょっと過激な発言もする反体制派なのだ。
ガン持ちの私より格段に元気一杯なのは確かだ。
今朝も元気一杯で、朝食も取らずに何やら始めた。
「何作ってるの?」と私が聞くと
「手作り化粧品」と答えた。
そういえば、つい先日も楽天市場で化粧品の材料を買ったいた。
手持ちの楽天ポイントを使って買う予定が、購入手続き画面で、間違えてクレジット払いになり、損したと嘆いていた。
化粧品に限らず、市販品の成分が健康に悪いと、いろんな物を手作りしている。
一つの趣味である。
YouTubeで、やっていると直ぐに信じて何でも試すのだ。
「いろいろ手づくりするね、最後には自分の手作りした物が原因で死ぬね」
とからかうと
「それで本望よ」
「そうかい」
「信じる者は救われるって、あんたみたいに何でも疑ってるからガンなんてなるのよ」
ガン持ちの私は、一言も無い。
テーブルの上に計量カップを置いて、いろんなものを入れてかき混ぜていた孝子が
「あんたも使ってみる、今作っているのは化粧品じゃなくリンスだから」
「断る」
「やっぱりね」
そんなくだらない朝の会話の後、
「今日は半日化粧品づくりよ」
と言って台所に移動、まるで料理するかのように鍋やフライパンを出し作業開始のようである。
鍋で湯を沸かしている孝子に
「お湯沸かして何するの」
「瓶の消毒」
あそうかと、妙に納得。
何でも即やらないと済まない孝子の性格に脱帽である。
それが元気の元になっているのかもね