arakabu-kamenoteのブログ

あちこちガタがきだしたオヤジの日々の記録です。

地球温暖化とエネルギー政策

はじめに

先ごろ、国はCO2削減対策として、効率が悪い老朽化した石炭火力発電所の段階的停止と、再生可能エネルギーの一層の普及促進を打ち出した。

地球温暖化防止が全世界で叫ばれている今、教科書のようなお手本の政策である。
CO2排出量の多い発電所を廃止して、再生可能エネルギーを使用しようと言う模範的な回答で、少し考えると誰でも思いつく。

そして、現状の問題点として、既存の送電網の再生可能エネルギー電力への貸し出しの制限を改善する方向を明確にした。

 

電力構成の今までの経緯

昭和の時代、日本の石炭産業が全盛期は、石炭火力発電所全盛期であった。電力は火力ベースで負荷変動分を水力発電が補っていた。
国内の石炭産業の衰退とともに、外国炭を使用した大規模な石炭火力発電所原子力発電所が電力のベースとしての位置をしめた。
その後、原子力発電所は順調に増加、火力発電所は、石炭から天然ガスに移行し、ガスタービンとその排熱を排熱回収ボイラーで排熱を回収して、蒸気タービンを回す、複合サイクルの高効率火力発電が実用化して東日本大震災まで続いた。
大震災での福島の原発事故で、国内の原子力発電所はすべて停止し、不足した電力を補うために休止状態に有った昔の老朽化石炭火力発電所が運転を再開した。
現在は一部の原子力発電所が再稼働したが、その割合は少ない。福島の惨事で、原発は廃止すべきだと世論は動いていたが、『喉元過ぎれば熱さを忘れる』じゃないが、安全審査に合格すれば再稼働ができるようになっている。その審査基準に、周辺住民の避難体制などもあるようだが、周辺住民の避難を想定しないといけないような物騒なものが許可される事自体異常だと思う。

 

本当の問題点

化石燃料の燃焼を伴わない原子力発電所はCO2を出さない、老朽化した石炭火力は多量のCO2を排出する。
その老朽化火力を停止する事は、温暖化対策としては有効な政策だ。そして不足した電力を再生可能エネルギーで補う。
一見、ご立派な政策だが、石炭火力は燃料の石炭を燃やし続ければ安定して発電を続ける事ができる。一方、再生可能エネルギーの代表格である太陽光発電について考えると、晴天であれば太陽光パネル数に比例した発電を続けるが、曇天では発電量は低下する。まして夜間は発電量ゼロである。
国が送電網の問題点を改善して、どんなに太陽光発電所を増やそうが、所詮お天道様次第でる。風力や波力、潮力など様々な再生可能エネルギーは有るが、自然に委ねるところが多い。

本当の問題点は、電気は

使用量=発電量

が成り立たないと安定供給できないと言う事だ、火力発電は燃料の調整で絶えずこの式を満足させる事が出来る。急激な変化は水力発電所などでも対応できる。

再生可能エネルギーは、このような調整は不可能に近い。ゴールデンウィークに発電量は多く電力が余るので、九州電力太陽光発電所の停止を要請したりするのもこの為だ。
この問題の解決策は、電気を貯める技術の開発、実用化を急ぐことである。

太陽光発電所に例えれば、天気の良い昼間、余った電力を貯めておいて、曇天や雨天、夜間の発電量が不足した時に、その貯めた電力を使用する。
そうする事で、太陽光発電も安定供給電源の一角となりうる。
電気を貯めると言えば、バッテリー(蓄電池)が頭に浮かぶ、勿論、大容量のバッテリー等の開発、実用化も大事だ。
一寸視点を変えると、太陽光発電の電力が余る昼間、その余った電量で、ポンプを回して水を高いところに上げて貯めておく、電気が不足した時は、その水を下に流して水車を回し水力発電で電気を作る(揚水発電)等、電気を位置エネルギーの形で、貯めたり使用したりも出来る。
その他にも超電導を使用した電気の貯槽等も考えられるが、長くなるので、ここでは省略する。

 

まとめ

私みたいな現役を退いた老体でも、この程度は考える。
国は、温暖化対策と言って口当たりの良い政策を打ち立てるが、その先のエネルギー政策が無いように思う。
悪くとれば、いざ電力不足に成れば、どさくさ紛れに原発の再稼働を狙っているとさえ思える。
エネルギーの専門家会議を立ち上げて、将来のエネルギー政策を決める時期に来ていると私は思っている。
その専門家会議のメンバが、総理お気に入りの方ばかりにならない事を祈るばかりである。