arakabu-kamenoteのブログ

あちこちガタがきだしたオヤジの日々の記録です。

苺傷害未遂事件

昔むかし、樹木希林郷ひろみが『林檎殺人事件』という歌をヒットさせた。

「あんたも古いねぇ」と言われそうだが?

そうなんです、1952年生まれの70が目の前に迫っているオヤジなんです。

忘れかけた歌が私の脳裏に!

そんな事件が我が家で発生!


プロローグ

4月25日の夜、夕食のテーブルに豚肉と玉葱の炒め物をメインに何時もと同じ様な、夕食が並んでいた。

孝子には、ワインが並び、私は土鍋で炊きたてのご飯が添えられている。

孝子は、ダイエットでご飯抜き。病気持ちの私は、アルコールは厳禁。

食卓に並ぶ皿の違いはアルコールとご飯の違いだけ。

ところが、昨夜は私だけ苺がデザート用の薄ピンクのガラスの小鉢に盛ってあった。


幕開け

「いただきます」と互いに声をかけて、夕食開始である。

「最近塩分摂りすぎかなと思い、久々に血圧測ってみたよ」とご飯を口に入れながら私が言った。

「どうだった」と孝子

「うん、180近くあったから、何度か測り直したよ」

「なんで、ちょっと前は死体みたいに血圧下がっていたじゃん」


回想

確かに、そうである。

以前は血圧がちょっと高めで、10年ぐらい前から、毎朝降圧剤を服用している。

ところが、胃がん肝細胞癌と癌のオンパレードになってからは、手術の影響なのか、嘘みたいに血圧が下がり、100をきることも多かった。

そうなってからは、毎朝の血圧測定もサボリぎみで、最近はすっかり血圧測定を忘れていた。

ところが、ここ1,2年、孝子の料理の味付けが以前より濃くなったように感じていた。

「今日の味噌汁塩辛いよ」と私が言うと

「普通だよ」と孝子

「歳をとると味付けが濃くなるとテレビで言ってたよ」

「おまはん、シバいたろか」

年上女房の孝子に歳のことを言うのは厳禁であった。

「お、こわ」とからかい気味に私は、一言

嫌悪に思えるが、我が家では普通の会話である。そんなバカ話をしながら食事をとる日も増えていた。

私が薄口になったのかもしれないと思っていたのだが、それにしても辛く感じる。

そんな訳で、久しぶりに血圧測定。

『お! 180 酒は底なし、タバコは1日2箱の50代前半の値、若返ったか』

なんて馬鹿げた心のつぶやき。

それにしても?

再測定、少し下がるが、あまり大差無しであった。

やっぱり塩分の取り過ぎかなと気付いたのが夕食の少し前であった。


夕食にて

「血圧も脈拍数も死体みたいに下がってたんだけど」と私

孝子の方は元来低血圧で、以前私は孝子を死体扱いしていた。

ところがここ数年逆転、私が死体になっていた。

『勝った』と思っていた。

「直ぐに忘れて、血圧毎日測らないからよ」と孝子

「やっぱり最近塩分多めだったんだ」

と言うと

「辛いと思ったら食べなきゃいいのよ、だいたい最近食べすぎよ」

確かにその通りである、胃がんで胃は半分しかないのに、普通に食べて、食べたあとになって気分が悪くなる日々が続いていた。

孝子からは

「懲りないやっちゃ」とからかわれている。

「酢タマネギあんたも食べな、血圧にもいいよ」

最近孝子はダイエットで酢タマネギを毎食食べている。

以前の酢キャベツは人間が食べる物では無かったのだが、その事に孝子もやっと気づき、酢タマネギに変えたのである。

私も味見させられたのだが、酢タマネギは一応口にできる味である。

最近はネットで酸っぱくない酢を購入し改善を図っているようだ。

そんなこんなで又孝子のダイエット食にお付き合いする事になりそうだ。

直ぐに食卓に酢タマネギ入ったガラス製の蓋付き瓶が置かれた。

「ところで、苺俺だけ」

「私3時に食べすぎて入らないの、愛情・愛情」

孝子の愛情は軽い・軽いと心で思ったが、決して口には出さない。

食事が終わり、デザートの苺になったが、いつもの通り食べ過ぎた。

折角の苺、全然手を付けないのも悪いと思い、一つだけ口にした。

芯の付近が一寸だけ青臭い味がした。

「一寸青臭いよ、苺の額の部分よく取らんかった。ケチだから」

「ちゃんと取ったよ、気のせい・気のせい」

「食べてみぃ」

「私も入らないよ、ここに置いとくから何時でも食べてよ」
と一言、

近くのスパーがメガドンキーに変わってからは食料品の味がイマイチかな?

苺自体もあまり甘くないのかもと思いつつ、夕食タイム終了。


事件勃発

食卓のこの苺、次の日の昼食までテーブルの上に置かれていた。

次の日の昼食後、いつまでも置きっぱなしでは悪くなると思い、
私の胃の中に片付ける事にした。

最後の一個になった頃
草の青臭さと思っていたこの味、ひょっとしてカビ。

「孝子、食べてみ」と最後の一個を孝子に渡した。

一口口にした孝子が

「これカビだよ。スグ分からんか」と

「苺ってカビるんか?ドンキーで買った?」

「農協よ」と孝子

『メガドンキー様思い込みで決めつけてごめんなさい』と心のなかでお詫びした。

「昨夜から調子が悪いのはそれでか」

昨夜からお腹の調子が何時もの食べ過ぎと少し違うなと思っていた。

ここ数日便秘気味で出るものが出ないからかと思っていたのだが、今朝やっと出た。

おかげで気分爽快になっている。

普通だったら食あたりで下痢していたのかもしれない。しつこい便秘だったので幸いしたのだ。

又、その苺を今度は数個食べてしまった。
そう思っただけで、気分が悪くなった。

慌ててトイレに駆け込む、又出た。でも下痢ではない。

便秘の解消になり、不幸中の幸いである。

「愛情・愛情で私だけに出される物には注意しないと」と私が独り言みたいに言うと、普段は大声も聞こえないことのある孝子が

「それどういう意味よ、ケリ入れたろか」

くわばら、くわばら

カビも色々、たまたま善良なカビだったのだろう。

傷害未遂で終わった。

孝子の愛情が私の便秘を治したのかもしれない。

感謝!