arakabu-kamenoteのブログ

あちこちガタがきだしたオヤジの日々の記録です。

日曜の朝に

足元から吹き込む心地よい北風で目が覚めた。窓からは陽光が差し込み、梅雨時とは思えない清々しい朝だ。
私の部屋は、北側の玄関の横である。ベッドは南側が頭になる向きで置かれている。部屋の北側に窓があり、暑い時期は窓を開けて網戸にして就寝する。
その窓の外は、建物の共用部分の通路になっているので、外から室内が丸見えになる。いくら頭が軽い私でも、これはいけないと思い、レースのカーテンをして眠る。
寝る時は、明かりを消すので、網戸の網とレースのカーテンだけでも、室内は見えない。よく見ると微かに室内の様子が分かるのだが、爺の寝姿を覗こうとする物好きもいない。

今朝は、その窓から心地よい北風が私の部屋を訪問した。
枕元に置いてあるモバイルルーターのスイッチをオンにして、体を起こす。私の一日の始まりである。
机の上のスマホのメールをチェックして、南側のリビングへ向かう。ベランダ側も網戸にしているが、こちらは普通のカーテンをしているので、日差しがない。
カーテンを開けて、部屋一杯にあさの光を導き入れる。外からは梅雨明けを思わせるような、セミの鳴き声が「ミン、ミン、ミーン」とうるさいぐらだ。
ベランダで栽培しているミニトマトの『アイコ』と言う細長い形のトマトが、赤く色づいている。後で、スマホで撮っておこうと思いながら朝食のパンを焼き始める。

朝食が終わり、関口宏のサンディーモーニングを見始め、暫くすると生理現象を催しトイレに入った。
トイレから出て、トイレの横の孝子の部屋を覗くと、居ない。爆睡中だと思っていたが、日曜にしては早起きだ。
孝子はリビングのソファーにチョコンと座り
「おはよう」と言ったと思うと、こちらが
「おはよう」と返すのを聞くか聞かない内にトイレへ入っていった。
どうやら私の長いトイレが終わるのを待っていたようだ。
「梅雨明けたん?」とすっきりした顔でトイレから出てきた孝子が言った。
「まだだと思うよ、今日は天気だけど」と答え、スマホを片手にベランダへ出た。

孝子が、友達のように『アイコちゃん』とよんで、丹念に育てているトマトを撮影してみたが、光の加減で全体が上手く撮れない、赤く色づいたトマトが下のほうで、ベランダの手摺の下の低めの塀の陰になる為だ。仕方なく赤く色づいた部分だけに焦点を当て、撮影した。
ついでに、もう一つの『フルーツトマト』の方も撮影、こちらには色づいたトマトはない。
赤く色づいたトマトは昨日孝子に収穫され、先ほど私の朝食のパンに挟まれた。今は私の胃の中で、ご臨終している。

『生あるものは、いずれ死ぬ』今朝のトマトは私の為に役立ってあの世へと旅立った。
誰かの為に、役立って旅立てれば良いのだが、この歳になると、そんな奇特な事を考えたりする。私の場合、それは一瞬の気の迷いである。

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